女子高生夏希のイケメン観察記
「で、さぁ。
 何の宿題なわけ?
 オネエサマ」

にやにやと、秋人が意地の悪い笑いを浮かべて私を見ている。

……う。

それは、どうせろくでもない宿題だと理解している視線ですね?
言えない。

これ以上言うと、さらに馬鹿にされてしまう。

「何でもいいでしょう?
 中学生のあんたになんか理解できるはずないんだから。
 どっちにしてもお姉ちゃん、これから出かけるんだからとっとと食べてよね」

この家での唯一の権力。

『姉』であることをふりかざし、二人を追い払うととりあえず食器を洗いながら、昼からの計画を練る。


まずは、あの花屋さんに行ってみよう。
花になんか興味はないけれど、ただ、その顔が好みで一週間に一度足を寄せる花屋さん。

……それから。

あれ?
それから、どうしたら良いのかしら、私。

頭の中真っ白で、プランなんてちっとも浮かんでこない。

ま、いっか。

善は急げ、犬も歩けば棒にあたる、卵は割らなきゃ食べれないって言うじゃない?

お気に入りのワンピースに着替えた私は、日焼けクリームを塗りたくり、麦藁帽子を被ると小さなかごバック片手に、暴力的なほどの日差しが降り注ぐ真夏の世界へと足を踏み出していた。

ナル専属のカメラマンから逃れるために!

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