女子高生夏希のイケメン観察記
「違うよ、智。
 今から奪うところ。
 邪魔しないで」

にこやかに、さわやかに、何を仰ってるんですかっ。
私は三歩後ずさった。

「そう、邪魔して悪かった」

いやいやいや、智さんっ。

私を置いて行かないでー!!
浴衣をラフに着ている智さんの腕に手を伸ばし、がしりと掴む。

思ったよりずっと、智さんの腕はしっかりした筋肉がついていた。
智さんは私を見下ろして、ふわりと笑う。

キュン、と、心臓が高鳴る。

智さんの手が私の頭をがしりと掴んで抱き寄せてくれた。

わぁああっ。


「夏希ちゃん、こういう目で誘惑しちゃダメじゃない」

ゆ、誘惑ですか?
そんな能力、持ち合わせている覚えはないんですが。


「奏、風呂に入ってきなよ」

智さんが低い声でそう言い放った。
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