女子高生夏希のイケメン観察記
悪ふざけを禁じられた二人は、大人しくなった。
奏さんは、やれやれと、肩を落とす。

「面倒だからもう、手短にいくよ?
 智ってしょっちゅう、刀を手にするとトランスするよね」

「自覚はある、けど。記憶は無い」

智さんは歯切れ悪く、頷いた。

「その隙に、伊達政宗って名乗る霊(モノ)が憑依してると思われるんだよね」

「いつから?」

智さんは眉間に皺を寄せる。

「結構前から」

視線を逸らしたまま、久遠さんが短く答えた。

「何で言ってくれなかったの」

感情を抑えた声で言って、智さんが二人を見る。

「言ったらどうにか出来んのかよ」

久遠さんが、ゆっくりと切れ長の瞳を智さんに向けた。

「……こうやって気まずくなるのも面倒だからね。
 で、僕は経済的な問題抱えてるし、智はそういう状態だから、久遠に言って一緒に住まわせてもらうようにしたってわけ。
 ここまでが現状説明。
 何か、質問は?」

奏さんが話を取りまとめる。
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