永遠の絆
「じゃ、このまま行こっか。ってか、もう着いたんだけど」
そう言って隣のビルに男は指差し見上げる。
同じくあたしも見上げると少し小綺麗なビルが目に飛び込んできた。
周りを見渡すといつの間にか裏通りまで来ていて、さっきとは全然違う別世界になっている。
輝かしいネオンなんて全くなく飲み屋街ってとこなんだろうか、食べ物の匂いが充満している。
こんな所は当たり前に来た事がない。
って言うか、こんな場所すら知らなかった。
だって、別に街に興味なんてない。
「お前、いつまで引っ張ってんだ」
男の声にハッと我に返り目線を男に向けると、眉を寄せて胸元を見ていた。
後退りした所為で男のシャツは延びきっていて、すでにあたしの腕からは男の手が離されていた。
慌てて離すと、男は深く息を吐きシャツを整える。
その整える腕に光る腕時計。
人目で分かるその高級そうな腕時計に少しだけ釘付けになってしまった。