永遠の絆
ザワザワとする店内。
見るからに居酒屋だ。
食べ物の匂いが充満し、所々からタバコの臭いも流れて来る。
「どっか席、空いてんの?」
近づいてきた店員に男はいつもの様な口調で告げ、辺りを見渡す。
「えーっと…、はい」
店員は辺りをグルっと見渡すと、すぐに隣の男を見るなり力強く返事を返した。
男は店員の後を着いて行き、その後をあたしは追う。
ガラス張りの中は畳の席になっていて、後はテーブルが多数区切られていて見るからに小綺麗な雰囲気になっている。
奥にある4人掛けの席に案内され、男が座る真向かいにあたしも腰を下ろした。
自分で着いて来たものの、なんで来たんだろって今更ながらに思う。
「とりあえず、生と…お前は?」
男の視線が店員からあたしに向けられる。素早く首を振るあたしに男はもう一度、店員に視線を向けた。
「んじゃあ、ウーロン茶で…」
「はい。畏(かしこ)まりました」
店員が軽く頭を下げて姿を消すと、目の前の男はポケットからタバコを取り出して口に咥えた。