永遠の絆

突っ立ってるあたしに翔は不思議そうに見上げる。

軽く視線が重なり合った瞳からあたしはすぐに逸らし、ゆっくりと腰を下ろした。


「どうした?」

「……すから」

「え?」

「お金はちゃんと返すから」


あたしから出た言葉は小さくて小さくて今にも消えそうな声だった。

でも、そんな小さな声を翔は聞き取ってくれて、「いらねぇよ」と言葉を漏らす。


「あたしが嫌なの。ちゃんと返すから」


目の前の翔を見てあたしは言葉を吐き出す。

そんなあたしに翔は目線を逸らして深く息を吐いた。


「返すって何して稼ぐわけ?」


そう言われてあたしの口から声は出なかった。






< 124 / 595 >

この作品をシェア

pagetop