永遠の絆

「つーか、お前。…名前何?」

「は?」


不意に聞かれたあたしの名前。

そんな事聞いてどーすんのよ。


「だから名前」


タバコを灰皿に磨り潰してジョッキ半分ぐらいになったビールを喉に流し込んだ後、男はあたしに目を向ける。


「…美咲」


何故か思わず言ってしまった名前に男は頬を緩めた。


「美咲ね…」

「何よ。あたしの名前をどうする気?」

「はぁ?なんもしねーわ。…俺は、翔」

「あっそ、別に聞いてないし。どうでもいいよ」

「なんだお前。マジ可愛くねぇよな」

「てか、そんな可愛くねぇ奴に声掛けたのは何処の誰だよ!」


ごもっとも。だと思ったのだろうか。

吐き捨てるあたしに翔は更にフッと笑い、新しいタバコに火を点ける。


暫く経って次々運ばれてくる料理に、あたしの目は集中した。

ほかほかの料理から出てくる湯気に思わず食欲をそそられそうになる。


「食えよ」

「だからあたし…」

「俺の奢りだっつってんだろ」


だからそれが怖いんだよ。

でも、まぁいっか…


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