永遠の絆
「分かってた。そう言われる覚悟で行ったから分かってた」
「……」
「でも最後に言っときたかった。もう雅樹への気持ちも吹っ切れたよ…、あんな奴の事、好きになってたあたしが馬鹿らしく思うよ」
「……」
「好きになりすぎたら回りさえ見えなくなっちゃう…。本当は産もうって思ってた。でも、あたしはまだまだ子供だし親に頼って生きてるわけだしお金だって必要だし…」
「……」
「だから…ね、お願い美咲。あたしの決断に何も言わないで…」
そこまで淡々と言葉を続けた葵は唇を噛みしめ、潤んでいる瞳をグッと堪えてる。
あたしは、葵の言った通り何もその事について言わなかった。
人間、誰でも言われたくない事だってあるし、批判されたくない事だってある。
だからあたしは葵の事を受けとめる。他の人がどうであれ、あたしは葵を受けとめる。
あたしは鞄の中から白い封筒を取出し、テーブルの上に置いて葵の前まで滑らせた。
それに気づいた葵は俯いていた顔を少し上げ、白い封筒に目を向けた。