永遠の絆
「ねぇ、美咲?」
「ん?」
小さく声を出した葵にあたしは目線を上げる。
葵は表情を曇らせたまま、あたしに目を合わせる事なく俯いた。
「…一緒に着いて来てほしい」
ポツンと呟いた葵の声が微かに震えていた。
その声を聞くと何故かあたしの瞳も潤んでた。
「うん…。ねぇ、親は?」
どうしても気にしてた事を口に出すと、葵は小さく首を横に振った。
「やっぱ言えない。何度も言おうか迷ったけど、やっぱ言えない。ママの顔見ると言えないの。いつかはバレるかも知んない…。でも言えないよ…。いくら親でも言えない事だってあるよ」
葵の口から出た言葉に、あたしは何も言葉すら返せなかった。
だって、あたしもママに言えない事はあるから。
だから、その言葉に対して返す言葉すら見つからなかった。
苦しい気持ちは今の葵と同じ。
隠す事がいけない事だって分かっているけど、やっぱし言えない事は言えない。
いつかバレた時がきたら、その時はその時で“ごめん”って心の中で呟いてた言葉を口に出して言う事しかない。
それしかないんだと思った。
葵も多分、あたしと同じ事を思ってると思う。