永遠の絆

「美咲はいつも、そのブレスレットつけているよね?」


暫く経った沈黙の後、ふと葵が話題を変え、あたしの手首を見る。


「えっ…。あ、うん」


あたしは葵から視線を外し、自分の左手首に視線を落とした。

シルバーとゴールドのシンプルなブレスレットが二重になって重なっている。


「それって誰から?」

「あれ?葵に言ってなかったっけ?」

「うん、聞いてないよ。高校入った時から、美咲はいつもつけてたけど…」

「あー…、うん。これママがくれたんだ」


そう言って、あたしは二重のブレスレットを右手で軽く触れた。

高校に入ってすぐママがあたしにくれたブレスレット。


一緒の家に居るのに、あまり会わないママだからこそあたしはずっと今まで外さずにつけている。


「そうなんだ。大事にしてるね」

「うん…」


少しだけ他愛もない会話をした後、あたしは葵の家を出た。

葵は最後の最後まで、お金の事に“やっぱ悪いよ”って言ってたけど、あたしはその言葉を遮ってテーブルの上に置いてきた。




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