永遠の絆
「あたしね、」
自分の足元を見て呟くあたしに、翔は「うん?」と声を返す。
「あたし留学したいんだ。だからね、あの美術館によく行くの」
こんな事を言ったのは、とりあえず翔に聞いて欲しかったのかも知れない。
誰かに打ち明けたかったのかも知れない。
「へー…、行き先はオーストラリア?」
「うん。小さい時からの夢なの。だからお金が必要って事もあるんだけど、あたしの親も離婚してんだ。それに家のローンだってあるし…」
「……」
「ママはね、仕事してその後24時間スーパーで働いてんの。何度かママが倒れた事だってあるし、そこまでママが働く理由はあたしの所為なの…」
「みぃちゃんの所為?」
そう言ってきた翔にあたしは振り向きコクンと頷いた。
翔は少し離れた所からあたしを見てて…
「あたしが…。あたしが留学したいなんて言ったから。だからママあたしの所為で寝る暇もないくらいに働いてて…。だからあたし―――…」
「それは違うと思う…」
あたしの言葉を遮って言ってきた翔の言葉に、逸らそうとしてた視線をもう一度翔に向ける。
「違うって何が?」