永遠の絆

暫く走った後、翔は一軒の小綺麗な店の前に車を停めた。

店の前には階段があって、その周りには花壇があり色とりどりの花が咲き誇っている。


見るからに洋菓子店みたいな感じだ。



「ちよっと待ってて。すぐに来っから」


翔はそう言ってエンジンを掛けたまま車から降り、店の中に入って行った。


シトラスの香りが充満する車内にいると、つい気持ちが緩んで眠っちゃいそうになる。

眠さを遮ろうと軽く首を振り、何気なく車内を見渡すと、後部座席の下に一枚の紙切れが落ちていて、あたしはそれに手を伸ばし拾い上げた。


手に取って、座席に置こうとした瞬間、あたしの手はピタッと止まる。


「…領収書」


その紙には病院名が書かれてあって、日付は3日前。

領収書と書かれた下に“芹沢 翔”と書かれてある。


「せりざわ しょう…」


翔の本名だ。


初めて知った。翔の苗字なんて知らなかったし、もう一つの“彩吹 楓”って名前しか知らなかった。


でも…どこか悪いの?


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