永遠の絆

1時間近く走った後、見慣れた風景に差し掛かった時、あたしは道筋を教えた。


「あっ、ここ!!」


あたしの家の前まで来ると、慌てて言った声に翔も慌てて車を停めた。

日が落ちて薄暗くなり、車内からチラッと家を見るともちろん家に明かりは点いていなかった。


そんな家をボーっと見ていると、

「みぃちゃんって新山って言うんだ」

そう言ってくる翔に視線を移すと、あたしの家の表札辺りに視線を送っていた。


「あっ、うん。言ってなかったっけ?」

「聞いてねぇよ。だって俺も言ってねぇし…。俺、芹沢っつーの」


そう言って、翔はあたしを見てうっすら笑った。


知ってる。…なんて言えなかった。

さっき領収書見たって言えなかった。


だから、「あっ、うん」って凄い曖昧な返事しか出来なかった。



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