永遠の絆

携帯を手にずっと握り締めていて、その時刻も17時を過ぎ15分になろうとしている。

真夏の空はまだ明るくて空気すら暑い。


暫く座っているあたしに視線を向けながらもマンションの中に次々と人が入って行く。

入って行く人に目を追っていると、遠くの方から作業着を着た翔がこっちに向かって歩いて来るのが分かり、あたしは慌てて立ち上がった。


初めて見る作業着姿。いつもなら小綺麗なスーツを身に包んでいるのに今着ている作業着は汚れている。

立ち尽くしているあたしに気付いたのか、翔は一旦足を止め驚いた表情を見せた。


「みぃちゃん…?」


小さく呟く翔にうっすら笑い軽く手を振った。

そんなあたしの所まで翔は足を進めて立ち止まりあたしを見つめる。



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