永遠の絆
「パパー…」
不意に聞こえてきた子供の声に反応し、あたしは聞こえたほうに目を向ける。
小さな女の子が笑顔で走ってパパの胸に飛び込んだ。
その光景を見て、さっきまでの笑みが一気にあたしの顔から消えた。
たまに見る夢と、今目の前で起っている現状が被る。
だからと言って、あの頃に戻りたいとも思わないし、パパに会いたいとも思わない。
ローンだけ置き去りにして行った父親が、今現われてもあたしは父親とは認めないだろう。
「みぃちゃん?」
ボーっとしてた思考の中、翔の声で我に返り、素早く顔を上げる。
「どした?」
「何にもー、」
そう言って、あたしは曖昧に笑った。