永遠の絆

全然ちらかっていないリビング。カウンターキッチンに入り込んでも食器すら置かれていない。

テーブルの上だって、ソファーだって何も置かれていない。


片付ける代わりに、あのお金をチャラにすんじゃないの?

思わず深いため息が漏れ、ソファーに崩れるように腰を下ろした時、ガチャ…と玄関から微かに鍵が開く音がした。


慌てて立ち上がり玄関に駆け寄ると同時に、翔は一瞬驚いた表情を見せたけど、すぐに優しい笑みを漏らした。


「みぃちゃん来てたんだ」


そう言って、作業着姿の翔は靴を脱ぎ、あたしの頭をクシャと撫でた。


「行くって言えば良かったね」

「だったら合鍵の意味なくね?」


翔はフッと笑い、あたしの頭に乗っかっていた手を下ろし脱衣場へと向かう。


「ねぇ!!」


あたしが出した声で脱衣場のドアの取っ手を握って開けようとしていた翔の手がピタッと止まり、翔は顔だけ後ろに向ける。




< 294 / 595 >

この作品をシェア

pagetop