永遠の絆

頭を下げるあたしの肩をポンポンと叩かれ、顔を上げると細川さんは悲しそうな瞳であたしを見つめた。


「今は眠ってる。安静が必要だって」

「仕事の事は心配しないで下さい。また体調が戻り次第、復帰と言う事で…」


細川さんに続いて佐々木さんはそう言った。


「すみません…」

「無理してたみたいですね。今から会社へ戻るので、また顔を出します」

「また来るね。お大事に…」


佐々木さんの後、細川さんはそう言ってあたしに背を向けて歩きだした。

その後ろ姿にあたしは頭を下げて見送った。


佐々木さんと細川さんの姿が見えなくなると、あたしは急いでママの病室へと向かった。

病室に入るとママは目を閉じていて、腕からは点滴のチューブが垂れ下がっていた。


ママの近くまで行き、ママの手を握ると凄く冷たかった…


「だから…、だからパートなんか止めなよって言ったのに…」


擦れた声が口から漏れ、ベッドに顔を伏せたと同時にコンコン…とドアの叩く音がし、ゆっくりと頭を上げた。


「……はい」



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