永遠の絆

声を掛けた後、ガラッとドアが開くと白衣を着た高岡先生が顔を現した。

急いで立ち上がると高岡先生は柔らかい笑みを漏らす。


「お久し振りですね…」


軽く頭を下げると高岡先生は、足を進めてベッドの近くまで来た。

高岡先生と言うのはママの担当の医師で、もう何年もお世話になっている男の医師。


「あの…、ママはどう言う状況なんですか?」


恐る恐る聞くあたしに高岡先生はあたしからママへと目を向け、少し眉を下げた。


「診断結果は胃潰瘍です」

「…胃潰瘍?」

「はい。血を大量に吐かれていたみたいで身体も相当に弱っています。それで最低1ヶ月は入院が必要となります」

「えっ、1ヶ月って…。そんなにですか?本当に胃潰瘍なんですか?もっと悪い病気じゃ…」


先生を見て少し声を上げるあたしに、「んー…、」と声を漏らし、先生は言葉を続けた。


「大丈夫です。安心して下さい。ただ…、」


先生はそこで一旦、言葉を打ち切り視線をあたしに向けた。


「…ただ?」



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