永遠の絆

「ま、とりあえず帰るぞ」

「いい」

「あ?」

「いいって言ってんの!!」

「お、お前、来てほしいから迎え呼んだんだろうが」

「だから諒ちゃんになんか頼んでない!!」

「お前、いい加減にしろよ」


小さく舌打ちをした諒ちゃんはもう一度、掴んでいたあたしの腕を強く握り、そのまま足を進めて車へと向かう。

その所為で仕方なく進んで行く自分の足が途轍もなく嫌だった。


「乗れよ」

「……」


助手席のドアを開け諒ちゃんはあたしの背中を軽く押す。でも、あたしの身体は動かず、ただただ俯いて地面を見つめるだけだった。


「言っとくけど、葵に頼まれたんじゃねぇぞ。俺自身、自分から行くっつった。だから葵を攻めんなよ」

「……」

「お前が何しようと俺には関係ねぇ。でも、周りの事ももっと考えろ。お前の事、心配してっ奴が山ほどいるってのを忘れんな」

「……」

「馬鹿みてぇに自分を壊すような事だけはすんな」

「…何それ。諒ちゃんだって人の事、言えないじゃん。さんざん馬鹿みたいな事してきてさ、なのに何それ!あたしに言う筋合いないじゃん」

「だから言ってんだろうが」

「は?意味分かんない」

「意味分かんなくてもいーけどよ、早く乗れって」


諒ちゃんは、またまた面倒くさそうにため息を吐き捨て、あたしを車に押し込んだ。

ってか、面倒くさそうにするなら来ないでほしいよ…。あたしまでため息がでそうになる。






< 354 / 595 >

この作品をシェア

pagetop