永遠の絆
立ち止まったまま深い深呼吸をする。深呼吸をすれば少しは落ち着くかなって思ったけど、今のあたしはそうではないみたいだ。
肩からずり落ちそうな鞄を、しっかりと肩に掛け直した時、鞄の中からの振動に一瞬身体が飛びあがった。
こんな時間に掛けてくる相手は一人しかいない。ホントなら誰だろって一瞬でも考えるけど、今は考えなくても分かる。
今、あたしと居るのは翔。だとしたら一人しか後は残らない。
ジュンだ…。
そう思うと身体に寒気が走ってた。今でもあたしを探してるのかと思えば怖くて怖くて仕方がなかった。
逃げた限り、もう行く場所も行くあてもないと思った。嫌な汗が身体を流れ込む。背中に纏わりつくような感覚が気持ち悪くて仕方がなかった。
「おい、」
声とともに肩を触られた感触にまた身体がビクンとする。それと同時にさっきまで鳴ってた携帯が静かに止まる。
「どした?」
続けられた言葉に咄嗟にあたしは首を振った。
「何でもない」
あたしの口からやっと出た言葉がそれ。翔はあたしの顔を覗き込み軽く頭に手を乗せ、少しだけあたしの頭を上に上げた。
「泣いてんのか?」
低い沈んだ声でそう呟く翔にあたしはまた首を振る。泣いてなんかいない。…と、そう思わせたい。