永遠の絆
一瞬合った翔の目からあたしは逸らす。
抱えてる鞄の中の携帯がまた鳴りだすんじゃないかって思うと胸がハラハラとしだす。
怖い。初めてそう思った。きっとそれは今、翔と居るからだと思う。翔にバレたくないからだと思う。
あたしがまた身体を売ってるって事がバレたくなかった。でも、翔の事だから、きっと知ってると思うし気づいてると思う。そう思うと自分が嫌で仕方なかった。
「とりあえず中入ろ」
そう翔に言われて背中を軽く押されたあたしは自然に足が前へと進み、マンションの中に足を運んだ。
お互い何も言わずに翔の部屋の扉の前まで行き、中に入った途端、懐かしい風景が目に広がる。
シトラスの匂いで包まれた翔の部屋。相変わらず綺麗なままで、家にいた形跡がないくらい片づけられていた。
リビングに足を踏み入れて突っ立っていると翔はあたしの肩に触れ軽く押す。
「座れよ」
そう言って翔はソファーに目を向けてからあたしに目線を送った。そして翔はすぐにあたしから目を逸らしカウンターキッチンへと向かう。
その姿を見てからあたしは目線を足元に落とした。
何で来たんだろ、あたし。って言うか諒ちゃんに勝手に連れて来られたんだけど…でも何で翔に着いて来たんだろ。
これからどうしょう…。