永遠の絆
「どした?」
不意に聞こえた声にハッと顔を上げると、覗き込むように翔はあたしの顔を見つめてた。
「あ、いや…」
スッと避ける視線とともに、あたしは小さく息を吐き捨てる。
「はい、これ」
そう言われて見つめる先にはスウェット。
翔は持っているスウェットをあたしの両手に抱えさせた。
「え、何?」
「シャワーでも浴びれば?…少しは気分楽になんだろ」
「あ、いや、でも…」
戸惑うあたしに翔は何も言わずフッと柔らかい笑みをあたしに見せた。
その笑みが途轍もなくあたしの心を揺るがす。
好きじゃないって言い聞かせてんのに、あたしの心をまた新しく動かしてく。
もう…いや。
これ以上、翔の近くに居たくないあたしは、スウェットを抱えたまま脱衣場へと入り込んだ。
バタンと扉を閉め、戸に背をくっ付けたままスーっと身体を下にへと滑らす。
折り曲がった膝の上にスウェットを置き、それを抱え込んで顔を埋めた。
こんなあたしが人を好きになる資格なんて何もない。
翔と…
出会わなければよかった。