永遠の絆
「いいよ、ここで」
「だから聞いてねぇのかよ。俺が困るっての」
そう言って翔は小さく息を吐き捨てる。
あたしの腕を掴んだまま足を進める先は広いベッドがある部屋で、
「おやすみ」
そう言って、部屋を出て行く翔に視線を送った。
そのあたしの視線に気づいた翔は、ドアの取っ手を掴んだままあたしを見つめて首を傾げた。
何処行くの?なんて聞けないあたしは、咄嗟に首を素早く振る。
だけど、そんなあたしの想いが分かるかのようにフッと小さく笑った。
「風呂」
そう言って出て行く翔に何故かホッとした。
何でホッとしたのかさえも分かんなかった。
会うの辞めようとか思ってんのに翔が何処かに行く事に心が沈んだようになった。
矛盾してる。あたしの出す答えは、いつも矛盾してる。
どうしていいのかも、これからどうしたいのかさえも分かんない。
翔が出て行った部屋はほんのりと明かりが灯ってて、その明かりが何だか心地よく感じた。