永遠の絆
そう言えば…
何で翔がこんな時間に居るのか…。いつもなら稼ぎ時の時間。稼ぎ時ってのはおかしいかも知んないけど、翔はとっくに居ない時間。
「また、あたしの所為か…」
ポツンと小さく呟いた後、大きなため息が口から洩れる。
目を瞑って髪を掻き乱した後、あたしは眠りに入っている翔を飛び越えて寝室を出た。
リビングに行き、ベランダ側に足を進め、そこにあるレースカーテンを手でゆっくりと捲る。
視界に入ったのは、遠くの方まで見渡せる広々とした街並み。
時間が時間な所為もあって、町の明かりが、まばらにポツポツと光っている。
その風景を見ようと、あたしはドアを開け、ベランダに身を乗り出した。
「1、2、3、4、5…」
意味もなく街の明かりを数えてみる。だけど、そんな事で気分は晴れない。
この街に住んでる人はいったいどれくらい生きてて楽しいって思えて毎日充実してるんだろう。
「はぁ…」
深いため息が何度も何度も込み上げてくる。重い頭を抱え込み、あたしは手すりに両腕を置きその上に顔を沈めた。