永遠の絆

「ううん…」

「言い忘れたんだけど、ソファーの上に紙袋あんの分かる?」


そう言われて視線を送ると、薄い茶色の紙袋が目についた。


「あー…うん」

「それ諒也が渡しとけっつーから…ってか、もしくわ葵ちゃんか」

「…葵?」

「ま、とりあえず持って帰れよ」


電話を切った後、茶色の手提げ袋の中をあたしは除いた。


Γってか、これって…」


思わずそう呟き、ため息がでる。

中には綺麗に畳んであるママの衣類。どうみても洗濯物。


Γつーか、何でよ…」


何回か持ち帰った事はあった。だけどママは、美咲も忙しいからいいよって、病院で洗濯はしてた。

ここにこうやってあるって事と洗濯しろって言う事は、それを持ってママに会いに行けって事か…


それを魂胆に考えたのは翔でも葵でもなく、諒ちゃんだ。

あんな遊び人でもそう言う事に対しては根はしっかりしてる。


思わず深いため息が零れる。


とりあえず、パンを口にした後、あたしはその紙袋を抱えて家まで帰った。




< 383 / 595 >

この作品をシェア

pagetop