永遠の絆

「へぇー、来てくれんだ」

「行く。だから葵に障んないで。…場所教えて」


ジュンとなんか会いたくなかった。もう二度と会う事なんてないだろうと密かに思ってた。

でも葵を見捨てる訳にもいかなかった。


見捨てちゃうと、もうあたしと言うあたしが無くなってしまいそうだった。

たった一人の大事な親友を見捨てる訳にはいかなかった。


こんな形でまたジュンに会うなんて思いもしなかったけど、…でも何かもうどうでも良くなってた。

結局あたしは昔のあたしのまま。もう変わる事なんて…


出来ない。



ジュンから聞いた場所は荒れ果てた街だった。と、言うよりも荒れ果てて見えるぼろいアパート。

その周辺が荒れているだけなのかも知れない。アパートの周りには吸いがらが沢山落ちていて割れたビンとかもあった。


誰のアパートなのかも分からない崩れかけた建物。そのアパートの前に以前あたしが見た黒いワゴンが停まってた。

だから確信した。ジュン一人じゃないって事を…


でも、何でか分かんなかった。自分でも分かるくらいに平然とする態度。行くまでは恐怖に満ちたように怖かったけど、今じゃ何にも怖くない。


何でだろう…分かんない。


きっと葵を助けに来た安心感なのかもしんない。



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