永遠の絆

でも一つだけ腑に落ちない事があった。この場所が気に食わない。

ここから少し離れると、あたしが何となく知っている街に辿りつく。


そう、それは諒ちゃん家だ。


何かの偶然ってのは知らぬままに起きる。だからあたしは偶然にも会わない様に急いでアパートの古びた階段を駆け上がり、2階に上がる。


そして、ジュンが居るであろう部屋をノックした。

足を動かせる度に木の湿った廊下がメシメシと鳴る。もう壊れて落ちちゃうんじゃないかって程に木が腐りかけている。


「…気味悪っ、」


小さく呟いたと同時にギィっとドアが開く音がし、そこから顔を出したのはジュンだった。

開けた瞬間に中から何か分かんない臭いがあたしの鼻を突きさした。


お香…いや違う。

何だろう…分かんないけど鼻を突きさす臭い。


「待ちくたびれた」


そう言ってフっと鼻で笑ったジュンの顔が怖かった。何でかしんないけど上半身裸のジュン。

ジュンからゆっくり視線を落とすと、かろうじて見えた葵が履いているピンヒールが目についた。

その葵の靴を見た瞬間、急いでジュンを押しのけ中に入ろうとした時、


「痛って…。まぁ、そんな慌てんなよ」


そう言ってジュンに掴まれた左腕の所為で眉が寄った。




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