永遠の絆
「葵!!」
抱き締めていた葵の身体をバッと慌てて離すと、葵は一瞬驚いたような顔をし、あたしを見つめた。
「…何?」
「時間がない」
「え?」
「こんな事してる時間がない。…諒ちゃんにバレてるかも知んない」
「えっ、何で!?」
葵は涙ぐんだ目を泳がせソワソワし始める。辺りをキョロキョロと見渡し、
「あ、携帯!!」
スカートのポケットから葵は携帯を取り出した。
「葵が電源切ってるなんておかしいと思う。さっきからあたしの携帯がずっと鳴ってる。…諒ちゃんから」
「えっ…」
小さく声を漏らした葵は焦った顔をし顔色を悪くする。
そして携帯電話の電源を入れようとした瞬間、
「待って!!」
あたしは葵の手を止めた。
「どうしたの?早く電源入れないと」
「ダメ!入れちゃダメ!!」
「何で?」
「まだ入れないで」
そう言うと葵は何がなんだか分からない表情であたしを見つめた。
諒ちゃんは結構鋭い所があるから変に動いたら全部バレてしまう。こんな所で今から葵をどうしょうか、あたしはいろんな事を考えながら頭を動かす。