永遠の絆
「諒也先輩、すぐ来るって…」
「うん。…じゃあ、あたしは行くね」
葵に背を向けて歩き出してすぐ、
「美咲!!」
背後から葵の張り上げた声が響いた。
足を止めて振り返ると葵は哀しそうな表情であたしを見つめる。
「諒ちゃん来るから安心だね。ここに居ると諒ちゃんに見つかるから…。じゃあね」
何かを言いたげな葵にそう言って、あたしはもう一度葵に背を向けて歩きだす。
暫く歩くと遠くの方からクラクションが響き、その音が諒ちゃんだと確信したあたしは何故かホッとした。
だけど、あたしのやるべき事はまだ終わってなくて――…
でも何でかしんないけど恐怖心とかも全くなかった。さっきまでは葵が居たから怖かったけど、一人になった今…何も感じなくなったのはどうしてなんだろうって思う。
これも一種の慣れなんだろうか。
逆にそう思う自分が怖く感じる。
足を止めて立ち止まった場所はさっきまで居た古びたアパート。
真っ暗な夜の所為か余計に怖さを感じさせるアパートが目の前に広がる。
メシメシと音をたてて階段を上がると、その扉の前で退屈そうにジュンが背を付けて立っていた。