永遠の絆
「いい話じゃない事くらい分かってるよ」
表情を崩していたあたしの顔を見て察したのか諒ちゃんママはそう言った。恐る恐る視線を上げて諒ちゃんママを見ると、咥えたタバコに火を点けて勢いよく煙を吐き出す。
「初めに言います。すみません…あたしの所為です」
そう言ったあたしに諒ちゃんのママは、あたしを見る事なくタバコを灰皿に打ち付けて落ちていく灰をずっと見てた。
「どうしたの?」
問いかけられる言葉にあたしは重い口をゆっくりと開く。
「諒ちゃん…今、入院してます」
「原因は?」
「……」
「どーせ喧嘩でしょ?」
「あたしの所為で…」
「……」
そこまで言って言葉を詰まらせるあたしは、息をグッと飲み込んで更に重い口をゆっくりと開いた。
「…刺されました」
「……」
「で、でも命に別状はないって…。あたしが犯した過ちなんです。すみません」
煙を吐き捨てる諒ちゃんママから視線をゆっくりと落としあたしは俯く。だけど諒ちゃんママはビックリする事もなく至って普通だった。
刻々と時間が過ぎる中、あたしの頭の中で痛々しそうにしていた諒ちゃんの顔がフラッシュバックで蘇ってくる。
一息吐き、軽く目を瞑った時、
「美咲ちゃんじゃないでしょ?悪いのは諒也でしょ?」
あっさりと諒ちゃんママはそう言った。