永遠の絆
そんな事を言われたから思わず俯いていた顔が上がる。
タバコの火を消しながらそう言った諒ちゃんママは至って普通で、
「いえ。諒ちゃんじゃなく、あたしです」
きっぱりとそう告げたにも係わらず、諒ちゃんママは浮かない表情で小さく笑った。
「ハキハキするの美咲ちゃんらしいわね。…仕方ないわよ」
「…仕方…ないって?」
「だって、あの子そういう子だから。父親に似てんのかしらね」
「……」
「中学に入った頃から帰って来ないなんて当たり前だったし。今だって、もう1カ月くらい会ってないわ」
「え、1カ月もですか?」
正直驚いた。あれだけあたしにはママに会えって言ってたくせに自分は全然会ってないって事に驚いた。
諒ちゃん…言ってる事と自分のしている事めちゃめちゃじゃん。
「ま、私の仕事が夜だから会わないってのもあるけど…。あの子、ちゃんと学校行ってるの?」
「あ、はい。真面目に来ています」
「そう…」
「でも、今の所じゃ1カ月くらいは無理かも…って言うか進級すら…」
「自業自得なのよ」
「…え?」
遮られた言葉に思わずあたしは耳を傾ける。
自業自得って?
「喧嘩ばかりしてるから。いつかは何かが起こるって思ってたしね。だから…仕方ないわよ」
そう言った諒ちゃんママは初めて困った様に小さく息を吐き捨てた。