永遠の絆

「…場所、変えよ」


葵の手を引きあたしは屋上に続く階段へと足を進ませる。屋上まで辿りついたあたしはそのドアの前で足を止めた。


「ねぇ葵?諒ちゃんもうすっかり元気だったよ?歩けるし…」

「そう言う問題じゃない」

「そう言うって…」

「歩けるとかそう言う問題じゃないの!先輩の姿見ると怖いの!先輩の苦しそうにしている姿とか…思い出しちゃうの!あの時の先輩の姿が頭から離れなくって怖いの!!」

「でも、だからってこのまま諒ちゃんに会わない訳?」

「あの日、美咲が帰った後、先輩の病室に行ったの。酸素マスクして点滴してて…もうこのまま起きないんじゃないかって思った!!」


必死で伝える葵は目に涙を溜めて叫んだ。


「葵、だからね、諒ちゃん歩いてたし元気だった」

「違う。そうじゃなくって…」

「そうじゃないって何が?」

「だから怖いの。先輩の顔みたら思い出しちゃう。だって、あたしの所為だもん。先輩に一生の傷をつけたのあたしだもん!!諒也先輩に会わす顔なんてないよ!!」

「だから葵の所為じゃないって言ってんじゃん!!」

「じゃあ、誰の所為って言うの?どうせ美咲は“あたし”って言うでしょ?」

「だから誰の所為とかそう言うの言ってんじゃないじゃん。ただあたしは諒ちゃんに会いに行きなって…」

「じゃあ美咲が行けばいいじゃん!!」

「…何それ…」

「あたしは…行かない…」


小さく呟く葵には俯いて手で涙を拭う。そんな言っても聞かない葵に、


「あっそ。もういいよ」


素っ気なく返したあたしは教室に戻って鞄を抱え学校を出た。





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