永遠の絆
「…ごめん」
「普段泣かねぇお前に泣かれたら俺、どうしていいのか分かんねぇ」
「…分かってる」
「別に美咲の所為じゃねぇし」
その言葉に肯定なんて出来なかった。
これ以上居ると声さえ出せなくなりそうだったから、あたしはゆっくり腰を上げて立ち上がる。
「…帰るね」
呟いて足を進めるあたしの背後から、
「美咲!!」
諒ちゃんの声が辺りを響かせ、あたしはその場で振り向かず足を止めた。
「…何?」
「お前、他に言いたい事あったんじゃねぇの?」
「何も…ないよ」
振り向く事なくあたしは足を進める。
特に別にこれ以上話す事なんてなかった。諒ちゃんは不満げに言ってきたけれど、別に何もなかった。
病院を出てあたしが足を進めて向かった先は、もうどれくらい行ってないのかも分からないくらいの場所。
電車に揺られて数分経って着いた所は何も変わってない美術館だった。