永遠の絆
「何処行くの?」
暫く走った後、あたしは翔に問い掛ける。
「ん?何処行きてぇ?」
「いや…得にないけど…」
「んじゃ、ちょっと俺に付き合ってよ」
「う、うん…いいけど」
向かって行く先は見覚えのある風景だった。目に入りこんで来るのは広々と続く青い海で、あたしは窓からその風景を眺めてた。
これで3回目だっけ?翔と来るのは…
海を見ると何だか色んな事を思い浮かべる。色んな事って言っても、翔とあたしの事しかないんだけど…でも翔とした会話が今も頭に焼きついている。
あたしが留学したいって言ったのもそうだし、翔のお母さんの事を聞かされたのだって海。色んな会話が今でも新鮮に覚えてる。
「なんかやっぱ寒いな」
車を停めて海まで向かう途中、翔は苦笑いでそう言った。
「…だね」
「風邪引いたら困るし…はいよ」
翔は自分の着ていたジャケットを脱ぎあたしの肩に掛ける。
「え、いいよ。あたし大丈夫だから」
そっと肩に掛けてあるジャケットを取り翔へと返すあたしに、
「羽織っとけって」
そう言って翔はあたしの前を歩く。