永遠の絆

「…ない。行ける訳ないじゃん。…翔と居たい」


それが答えだった。


「だから言いたくなかったんだよな」


そう言って隣から深い翔のため息が漏れる。


「何それ…」

「みぃちゃんの事、困らせたくなかったから今まで何も言わなかった。ただ俺はみぃちゃんが望む事を傍で見届けてやりたかった」

「でもそうじゃないよ。あたしも…あたしも翔が好きなの…一緒に居たいの。それでも翔は行けって言うの?」


俯いてた顔をあげ翔を見る。

翔はチラッとあたしを見ると、「あぁ」って小さく返事をした。


「…ってか分かんない。普通なら行くなって言うんじゃないの?」


普通とかあたしには分かんないけど、でもきっとそうなんだろって思う。

だけど翔は…


「悪りぃけど、俺は“行くな”とも“一緒に着いて行く”とも言えねぇ」


あたしの想像を遥かに裏切ってた。

思わず目を瞑ってた。視界が遮る中、カチッと翔が点けたライターの音が自棄に耳に沁み込んで離れなかった。


どうしてあたしは留学の夢なんか持ったんだろう。

どうしてあたしは翔と出会って好きになんかなったんだろう。


今までの悩みなんてお金ばかりだった。留学したいからお金貯めてってそんな感じだった。そんな悩みなんていつもあたりまえに感じてたのに、どうして人を想うと苦しくなんの?

どうして迷いも増えて辛くなるの?


どうせなら、いつまでもずっと恋愛なんて面倒だってそう思える自分でいたかった。

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