永遠の絆
「…でも、やっぱ行けない」
口から出た答えはやっぱりそれしかなくて、そんなあたしに翔は眉を顰めた。
「何年も思い続けてた夢、諦めっと後悔するぞ」
「後悔なんてしないよ。今、現に後悔なんてしてないし」
「つか、後悔ってもんは後から来んの。今はそう思ってても何年かしたらその後悔が重く圧し掛かってくんだよ。だから、その後悔をしてほしくないからみぃちゃんに行けって言ってんの。後悔ってもんほど辛いもんは何もねぇよ」
翔は辛く悲しい表情でそう言った。
指に挟んでいるタバコを親指で軽く揺さぶりながら落ちて行く灰を見ながらため息をついてた。
その顔があまりにも寂しげで、
「…どうしたの?」
あたしは翔を覗き込むように問い掛ける。
「あ、あぁ。…うん?」
「いや、何か思いつめてる感じがしたから」
「…ここににさ、みぃちゃんと初めて来た時言ったろ?お袋の事」
「あぁ…うん」
「それが今になって凄く後悔する。辛そうにしてたの知ってたのに何で助けなかったんだろってな。亡くなったのも俺の所為なんだなーって…ふとした時にそう思う」
「……」
「だから後悔ってもんは少しづつ膨れていって次第に大きくなってんの。後悔するならやってから後悔しろって言うじゃん。何もしないまま後悔すんのはよくねぇよ」
「……」
「だから俺は、みぃちゃんに行けって言ってんの。一生会えない訳じゃねぇじゃん。いつか必ず会えるって思ってたほうが俺も頑張れるし」
「……」
「な?みぃちゃん行って来い」
軽く頭を数回撫でられて、そこから温もりを感じた時、あたしの感情が一気にドバッと溢れだし、それが涙に変わった瞬間だった。
それを見せたくないあたしは俯いて手の平で顔を覆う。
どうしょうもない感情があたしを狂わせ涙となって溢れだす。必死で止めようとしてんのに、翔の温もりを全身で感じた時、また新しく溢れだした。