永遠の絆
「ご、ごめ…」
「なんでまた謝んの?」
「ごめ…。翔の事好きなの。でも、だけど…ごめ…」
「…みぃちゃん?」
「ごめん。…あた、あたし…何も感じないの」
「…え?感じないって?」
時が止まった様に思った。
翔の声がいかにも低くて何を言われてんのか分かんないって感じの声だった。
目を瞑ったまま顔を手で覆うあたしは翔の顔の表情なんて一切分かんない。どんな表情をしてるのかもどんな風にあたしを見ているのかも分かんなかった。
だけど言わなくちゃいけないと思った。
あたしの全てを翔に分かって…知っててほしかった。
「…そう言うのしても何も感じないの」
好きだから性行為をするってそう言う感覚が分からなかった。人を好きになった事なんてないからそう言う愛しさで感じるとかそう言うのが分かんなかった。
売ってきた身体。お金の為に稼いだ身体。あたしにとったら、自分の身体じゃないような身体。所詮、あたしの身体は玩具にすぎない。
感じなくなったのはいつからだろう。それなりに初めからそうじゃなかったのは確かだった。でも、だけどそれは突然だった。記憶を辿って正確に考えてみると…そう翔に会ってからだった。
翔の事を考えて身体を売ってる時から、あたしは何も感じなくなってた。ただ、重ねあってる身体が気持ち悪いとしか思えなかった。
「…不感症ってやつ?」
ポツリと落ちてきた翔の言葉にゆっくりと頷く。
「分かんないけど…多分」
その言葉で翔のどうしょうもないため息が自棄に大きく聞こえた。
あたしの起こした過ちが所詮これ。自業自得…そう言葉にしたのも何回か分かんないくらいだった。