永遠の絆
「ねぇ、ちょっとアンタ」
ホテル街を出てすぐ、あたしの背後から男の声が飛んできた。
その声を無視して足を進めるあたしに男は駆け寄ってきて、あたしの肩に軽く触れる。
「待てよ」
そのまま、あたしの顔を覗き込むように「聞こえなかった?」と、男は言葉を続ける。
その目を合わせてくる男の視線を逸らし、あたしは無表情のまま足を進めて行く。
「あー…、無視ってやつか。可愛くねぇ」
男はフッと鼻で笑い、あたしの横に並んで歩く。
そんな男に苛立ったあたしは足を止め、男を見上げて睨み付けた。
「うるさいっ、」
吐き捨てるあたしに男は口角を上げて、あたしを見下ろす。
「なんだ、喋れんじゃん」
馬鹿にしたように笑ってくる男はあたしよりも年上で20歳過ぎってとこだろう。
茶色の髪に所々、金のメッシュが入りワックスで無造作に髪を遊ばせている男は、白シャツのはだけた胸元からシルバーのネックレスが光っていた。