永遠の絆
「だ、だって…何か行きにくいし」
戸惑う様に呟く葵は俯いて菓子パンを頬張る。
「行きにくいって…ってか、あたしは行かないよ」
「え、何で?」
「何でって、あたし何回か行ってるし今日だって行ってきたばっかだし…それに諒ちゃんうるさいし」
「う、うるさいって…」
「あー…何て言うか、ほら、あたしだけにね」
そう言ってあたしはまだ残ってる紙パックのカフェオレを口に含む。
葵と一緒に行きたくないって訳じゃないし、今日行ってきたんだから別に行く必要もないってのは確かだし。まぁ、うるさいってのも少し事実。
って言うか、久しぶりに諒ちゃんに会うんだからお荷物のあたしがいるとおかしいって言うか、きっと諒ちゃんの“来んなよ”って言う目線があたしに来るのは間違いなしだと思う。
「で、でも…」
「葵、一人で行ってきなよ。そのほうが諒ちゃんも喜ぶしさ。あたしが行ってもお邪魔虫なだけだし」
「そんな事ないよ」
「いや、そんな事あるんだって」
「そうかな…」
「うん、そうそう。それに今日はバイトだし、あと色々したい事とかあるし」
「したい事?」
そう言った葵は不思議そうに首を傾げる。
「うん…。あたし意地張って行かないって言ってたけど、やっぱし行こうと思う。…留学しようと思う」
「えっ、ホント?」
さっきとは打って変わって表情を変える葵は蔓延の笑みであたしを見つめる。
「うん」
「何かあたしも嬉しい」
そうニコニコとして葵は口を開く。