永遠の絆
「いいよ。乗って行きなよ。送るから」
「あ、いや…いいです」
「えっ、何で?乗って行けばいいのに」
断る葵にあたしは葵の肩をポンと叩く。
「うん、ありがと。でも、寄りたい所もあるし。だから大丈夫だよ」
「そっか」
「うん、じゃあね美咲」
あたしに手を振って、翔に軽くお辞儀をする葵は手をヒラヒラとさせ背を向けて歩きだす。
その背中をずっと見つめて見えなくなった時、あたしは翔に視線を向けて助手席に乗り込んだ。
「ってか、どうしたの急に?ビックリするじゃん。しかもこんな所に寸止めって、目立つじゃんか。みんなに見られるし」
「だってここが一番わかりやすかったから」
「で。どうしたの?」
「渡すものがあってさ」
そう言った翔は後部座席に手を伸ばし、そこから紙袋を掴んであたしの膝に置いた。
「何これ?」
「携帯」
「えっ、携帯?」
渡された紙袋の中を探ると、説明書に紛れて入っていたのは真っ白な新しい携帯。
それを手に取ると傷一つもない光った携帯だった。
「ほら、みぃちゃん変えたいって言ってたじゃん?」
「言ったけど…」
確かに昨日、携帯変えたいなって言ってた。
理由はただ一つ。ジュンに教えてたから…もう掛ってこないって思っててもそれがあたしの中では嫌だった。
でも、そう言ってても買いに行く時間なんてなかったし、お金の面でも少し気になってて…