永遠の絆

「お前さ、行動に出んの遅ぇんだよ」


そう言った諒ちゃんは面倒くさそうに、あたしを見上げる。


「何が?」

「何がって分かってんだろーが。決めたんなら、さっさと行動起こせよ。お前がおせぇーから、翔さん気にしてたぞ。もしかしたら俺の所為で行かねぇのかもって」


そう言われた途端、思わず俯きかけた視線をもう一度、諒ちゃんに向けた。


「どー言う事?」

「だから、お前がさっさと決めねぇからだろ。お前がまだ躊躇ってるって言ってた」

「別にそんなんじゃ…」

「だったら何で早く行動に起さねぇーんだよ。もう1月だぞ?行くなら行く、いかねぇなら行かねぇで、さっさと決めろよ。周りの人間をあやふやにすんな」


そう言葉を吐き出した諒ちゃんは、ダルそうに腰をあげ、そそくさとあたしの前から姿を消す。

分かってる。諒ちゃんの言いたい事くらい分かってる。

でも、何かが引っ掛かるの。


皆と別れたくないとか、ママ大丈夫かな…とか。翔とずっと一緒に居たいとか、そんな事をすぐに思っちゃうの。


自分の夢と大切なもの。どっちをとるって聞かれると、はっきし言ってあたしはまだ答えられない。そんな難しい選択、あたしは選べない。


どっちかじゃないと“ダメ”って言う選択はあたしは嫌いだ。


留学用紙に視線を送っていると、あたしは“ハッ”と思い出し、駆け足で教室を出た。左右確認し、今から階段を降りて行こうとする諒ちゃんに声を上げた。

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