永遠の絆
「…美咲?」
不意に聞こえた声にゆっくり振り返ると、そこには今から帰ろうかとしている葵が居た。
「あ、帰るの?」
「うん」
「諒ちゃん先帰ったよ」
「うん、知ってる」
「そう」
「美咲、どうしたの?」
不思議そうに首を傾げて聞いてくる葵の目線はだんだんと下に落ちていき、その葵の視線があたしの手に持っている紙にだって事がすぐに分かった。
「あー…うん。別に…」
そう曖昧に呟いたあたしは葵の横を通り過ぎ足を進めていく。
「もしかして留学の事?」
背後から葵の声が聞こえたと同時に駆け寄って来る葵の足音が近づく。
「うん」
隣に来た葵にそう小さく呟いてあたしはさっきまで居た諒ちゃんの教室へと足を進ませた。
「えっ、何でここ?」
あたしが諒ちゃんの教室に入った事を不思議に思う葵はキョロキョロしながら教室の中に入って来た。
諒ちゃんの机の上には留学に関する物が散乱してある。それを綺麗に整頓したあたしはボンヤリとパンフレットを見ながら口を開いた。