永遠の絆
「全部、資料だって。田口先輩って知ってる?」
「あー…うん」
「その田口先輩がね、進めてくれた。こー言うの詳しいんだって。だからね、諒ちゃんがさっき渡してくれた」
「あー…なんか前そう言う話ししてたっけ」
「早く行動起こせってさ、早く決めろってさ。あやふやにすんなってさ」
そうボソボソと呟くように話すあたしは持っていた資料を封筒の中に収める。と、同時に出た深いため息がなんだか疲れたっていうようなため息だった。
「ってか美咲。まだ悩んでんの?」
あっさりと、そう聞いてくる葵をあたしはチラッと見て情けない笑みを向ける。
「確かに行動遅いよね。決めた道なのに何でか前に進まないんだよね。諒ちゃんが言うのも無理ないか」
一度落とした視線をもう一度、葵に向けると葵はただあたしをジッと見ていて、そんな葵にあたしは呆れたように笑みを受けた。
「なんか美咲らしくないね」
「ん?あたしらしくないって何が?」
「いつも決めた事はすぐに行動起こすじゃん。だから美咲らしくない。ここまで引きずってる美咲は初めて。きっと、諒也先輩も同じ事思ってると思う」
「かもね…」
ポツリと呟いた声はまるで葵には聞こえないようなくらいの小さな声だった。
葵の言った事に“違う”なんて言えなかった。だってそれが正直で当たってたから。ここまで引きずって引きずってしてもう何か月経つんだろう。
ホントに諒ちゃんが言ったように行動遅すぎ。遅くなるほど皆に迷惑かけてんのに…
そして迷えば迷う程、だんだんと余計に行動が遅くなっていってる。