永遠の絆

「千円だけ受け取るよ。とりあえず駅に戻ろ」

「うん。ごめんね」


葵はいつだってあたしに倍以上のお金を返してくる。

それはあたしがお金に困っているからって訳じゃなくて、ただあたしに迷惑をかけているって事だけに返してくる。


家が厳しいあまり葵は彼氏と居て遅くなる時、あたしの名前を出しているからだ。

だからあたしは葵の両親に何度か謝った事がある。

それを申し訳なく思っているのか葵はすぐに“ごめん”と言う言葉を口に出す。


別にあたしは迷惑してないし、葵の為なら役に立ちたい。あたしはそれくらいしか葵にしてあげられる事がないからだ。


だがら、そんな適当に住んできたあたしの家庭を葵は好んでいる。




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