永遠の絆
「ここ入る?」
男はそう言ってホテルに指差しニコッと微笑む。
じょ、冗談じゃない。
何言ってんの、この男。
馬鹿じゃない?
でも一瞬考えてしまった。
金くれるんだったら好都合なのかもしれないって。
だけどこの嫌味ったらしく微笑む顔が自棄にムカついて、その気すらも全くなかった。
「あたしで遊ぶの止めてくれる?」
そう冷たく吐き捨てると、男はまた口角を上げる。
「まっ、冗談だけど…」
また嫌味ったらしくフッと鼻で笑うと、ホテルとホテルの狭い隙間の道を歩いて行く。
2人並んで歩く事すら出来ない狭い道を男はあたしの腕を引っ張り足を進めて行く。
あたしの視界はただ男の背中でいっぱいになっていて、その先なんて全く見えない。
「ちょっと!いい加減に手離してくんない?」
張り上げたあたしの声に男は足を止め、必然的にあたしの足も止まった。
睨み付けるあたしとは逆に男は平然な顔をして口を開いた。