永遠の絆

その所為で必然的に止まった男は眉間にシワを寄せてあたしを見下ろす。


ってか、睨まれてる意味が分かんない。

まぁ、あたしが掴んでいるのだから当たり前かもしれないけど、睨み付けてやりたいのはあたしも同じだ。


「痛いんだけど」


力を入れてシャツを引っ張るあたしに、男はあたしから目線を逸らし、自分の胸元に視線を落とす。


「じゃあ、あたしの腕も離してよ!だったらあたしも離してあげるから」


男は「んー…」って語尾を延ばせながら、一旦空を仰ぎ目線をあたしに向ける。


その一瞬にして男の顔が下がってきた所為で、あたしと男の顔の距離が縮まり思わずあたしは後退りしてしまった。

ほのかに匂ってくる香水の匂い。

世間一般に言うと、これが男前って言うのだろう。


女馴れしてそうなこの男にあたしが揺らぐとでも?

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