永遠の絆

「じゃあ…、」


そこまで口を開いたにも係わらず、あたしはこの先の事を何も言えなかった。

葵の家系が誰よりも厳しい事ぐらい知り尽くしている。

それに葵はまだ高校生だ。高校生でも産んでる人はいる…


でも、

“中絶”なんて言葉は途轍もなく言えなくて…、

だからと言って、じゃあ…“産めば”とも言えなかった。


いくら雅樹に他の女が居たとしても葵のお腹に一つの命が宿っている限り、あたしは言う必要があると思う。

でも、葵はそれを望んではいない。


やっぱし、やっぱしあの時、あたしが雅樹に言うべきだった。

葵に何言われてもいいからあたしの口から…



「……すよ」


静まり返った空間の中、葵はポツンと呟いた。


「え?」

「だから…、おろすよ」





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