永遠の絆

一瞬、葵が何を言っているのか分からなかった。


「…葵?」

「もう決めたから」

「えっ、ちょっ、ちょっと待って…。そんな簡単に決めんの?今でもお腹の中で生きてんだよ?」


今でも、今でも必死で生きている。

葵のお腹の中で…


「簡単に決めるわけないじゃん…」


葵の口から低い震えた声が微かに響き渡った。

そのまま葵は顔を上げ、葵からとは思えないほどの目力であたしを見た。


「この数日間ずっと考えてたよ…」

「……」

「産みたくっても産めない場合だってある!!」

「……」

「美咲に…、美咲に言われたくないよ!!じゃあ、美咲はどうなの?自分の身体売って、それで妊娠したらどーすんの?…産むの?お金貰ってる人の子供産むの!?」


必死で言ってくる葵に正直、あたしは何も言えなかった。





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