封印せし記憶
プロローグ
轟々と燃え盛る炎。
けたたましいサイレンと共に現れる消防車。
手際よく炎に向かって放水する消防士。
立ち上る黒煙。
崩れ行く家。
騒然とする人々。
そんな中、放心状態でその様子を見つめていた小さな女の子が、ハッと何かに気付いたように炎の中へ駆け出した。
それを見咎めた消防士によって、身体ごと掬われていた。
「いや…お姉ちゃん…!!お姉ちゃんがいるの!!助けてっ!!助けてっ!!たすけてぇぇっ!」
消防士の腕の中で懸命に姉を助けてと叫ぶ女の子に同情の色が周囲に広がる。
「…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
女の子の力では消防士の腕を振り払うことも出来ずに発狂した。