封印せし記憶
だいたいよく考えたら、高校入試には面談があるはずだ。
合格したってことはちゃんと質問に答えたはずだ。
なら、静菜はいつもわざとわけのわからない返答をしてるのか?
何のために?
…いや、考える必要なんてないか。
明日、オレは仕事だ。
そして明日の入学式は妻に任せてある。
それが終われば、静菜とはこれで会うこともないだろう。
3年も早く静菜を追い出せたんだ。
生活費を出してやる事は代償として考えれば安いと言えるだろう。
高校を卒業したらバイトでもなんでもして生きていくに決まってる。
8年間も面倒見てやったんだ。
その後の事までオレ達が面倒を見る義務はない。
これで厄介払いが出来た。
もう静菜のことなんて考える必要もない。
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康太は目を閉じてそんな事を考えながら、徐々に襲ってくる眠気に逆らわず、寝室の外から聞こえる声を遠くで聞きながら眠りに落ちた。